歯学部生・若手歯科医師へ!海外留学を身近に感じてますか?

今回は、歯学部生・若手歯科医師という非常に限られた人向けに、この記事を書いてみようと思います。

皆さん、海外大学院留学と聞くとどのような印象を持ちますか?自分とは遠い話、と思うか、あるいは身近なものと感じるか。

今回は、そんな将来の歯科界を支えていく人向けに、海外大学院留学の可能性について書いていきたいと思います。

1. 海外留学の種類

まず、簡単に歯科医師として海外に留学するための簡単な方法をまとめていきます。主な方法としては

  • ポスドクとしての採用
  • 大学からの派遣
  • 臨床トレーニングプログラムへの入学
  • 大学院への入学

等が挙げられます。

一般論として言われていることを踏まえてそれぞれ簡単に紹介します。

ポスドク留学・大学からの派遣

日本で博士号取得後、海外の研究室に1〜2年所属したのち、日本に帰国して大学教員をやっているという先生を見たことがあるはずです。

最も一般的と言えるのが、日本の大学に勤めながら、所属講座と交流のある海外の講座へ派遣という形で留学し、そこで関連する研究を継続するというケース(客員研究員)。

あるいは、日本の大学に所属しながら自分の研究テーマを踏まえて海外の受け入れ先を探して渡航するというケース(客員研究員、ポストドクトラルフェロー)。

いずれもほとんどの場合在籍期間中は給料が出ますが、場合によって現地講座から(主にポスドクの場合)、もしくは留学元の日本の大学から(客員研究員の場合)支払われます。また、ほとんどの場合日本の大学組織に在籍したまま留学できるので、留学後に戻る場所があるというのもメリットです。

一方この場合は、現地で患者を見るためのライセンスがありませんので、臨床のトレーニングを受けたり患者の治療を担当することは出来ません。あくまでも研究員としての留学になります。またいい意味でも悪い意味でも、大学院留学のような「ノルマ」がありませんので、現地での生活はその人次第で、実りあるものになるか、ただ遊びに行っただけかが決まります。

よく履歴書などで「客員」研究員、「ゲスト」リサーチャーというのを見ることがあると思いますが、この「客員/ゲスト」というのは大学から派遣されて留学したというわかりやすい例です。

今回は大学院留学をテーマにするため、この件についてはこれ以上取り上げません。

専門医養成プログラムへの入学

アメリカの大学やヨーロッパ各国の歯学部は、専門医レベルの人材を育てるためのコースを持っている所が多く、通常フルタイムで2〜3年のカリキュラムになります。特に、ペリオ、エンド、矯正、インプラント等がメジャーな分野です。

このコースに在籍中は、学生にスーパーバイザーがつくので、在籍している大学の病院でのみ日常臨床に携わることができます(日本でいう登院のような制度)。

ですが、あくまでその国の歯科医師免許があるわけではないので、コース終了後はその国の「専門医」ではなく、「専門医”相当”」というサーティフィケートが授与されることがほとんど(特にヨーロッパ・オセアニア)。

またコース終了後に継続して現地で臨床を行いたい場合には現地の免許取得を目指さなければいけないことが一般的です。

デメリットとしては、とにかく高い。学費だけで年間400〜800万円位したりします。また後述する学位(修士)がセットになっているプログラムと、そうではないプログラムがあるので注意してください。

大学院への入学

大学院には主に3種類あり、修士(MSc/臨床コース含む)、修士(MPhi: 主に英豪)、博士(Ph.D)の3過程があります。

Master of (Dental) Science: MSc

極めて多様なため一概にいうのは難しいのですが、学生は授業を受け、試験を受け、エッセイを書き、研究をし、修士論文を書きあげるというのが根幹になります。

コースによって、臨床トレーニングを重視するプログラムと、研究を重視するプログラムがあります。ですが、いずれの場合でも、試験をパスし、最後に提出する修士論文が受理されることで修士号の学位が授与されます。

言い換えれば落第ということも十分ありえますし、プログラム在籍中は「寝る暇がない」とよく言われる程かなりの勉強量を要求されます。

前述の専門医養成プログラム修了時に学生にMSc学位を授与する大学もあるので、厳密にはここの線引きはなかなか難しいですが、学位として修士の取得ができるのかどうかは事前に要確認すべき点です。

MScプログラムも比較的高額な学費がかかりますが、奨学金等をうまく利用することで学費を抑えることができます。

Master of Philosophy: MPhi

MPhiプログラムも根幹はMScプログラムとあまり変わりませんが、研究により特化したコースです。

通常は入学前に研究テーマを決定し、その研究の結果を出すことを求められます。将来的にはPh.Dへの研究へと発展させたり、研究者として就職することが前提にあり、入学前の研究テーマ提出の際にはPh.Dも視野にいれた研究計画を求められることがほとんどです。

日本で卒業後にある程度の研究経験がないとこのプログラムへ出願するのはなかなか大変だと思いますが、将来海外でのPh.Dを目指したいがいきなりPh.D studentとしてはグラントを自分で持っていたりしない限り殆どホープレスなので、そういう人にはMPhiがまず目指すポイントになります。

修士過程ですのでそれなりに高額の学費がかかりますが、MScよりも安いことが一般的です。

Doctor of Philosophy: Ph.D

Ph.Dは博士号取得を目的とする研究特化プログラムです。日本の歯科大卒業後に大学院進学するのと同じような位置付けです。ですが、Ph.Dプログラムについては、現在の世界的な流れでは、グラントや奨学金の都合もあり、日本人歯科医師がいきなりPh.D Studentになるというのは相当難しいと思われます。

オーストラリアやイギリスを含む何カ国かの大学に問い合わせだけしたことがありますが、何より「研究費を確保できるのか」ということを強く求められ、日本の大学院生とは違う「自立」が求められています。

出願には通常研究計画を作成し、それを元に講座教授等とディスカッション。計画が現実的か、講座の所有する設備との相性や研究費確保の目処など総合的に勘案され、入学の可否が決定されます。

入学後は最初の1年は研究倫理や統計学、基本的な手技に対する講義や実習があり、その後はひたすら所属講座で研究。Ph.Dの学位を取るための投稿論文の規定が日本よりも厳しく課されることが一般的で、所要年数は3年〜10年程度とかなり幅があります。

博士課程の場合には、学費を払う必要のある国と、逆に研究者と同様の扱いで給料が出る国と色々あります。

2. 海外大学院留学への偏見

私自身、学生の時や卒後すぐの際には、「海外大学院留学」=「特別な人がいく所」という印象を持っていました。そして、さらに言えば、海外の大学院に入学するためには聞こえは悪いですがそれなりに「人に媚びないと無理」とも思ってました。

よく見かけるケースですが、スタディグループに所属し、何度も何度も高額なセミナーやコースを受け、留学経験のある「有名な先生」に近づき、さらに気に入ってもらえるように努力に努力をして、なんとか口利きをしてもらい大学院へと入学するケース。

日本の文化と言えば日本の文化ですが、とにかくコネクションを作って、その先生の力を借りて海外へ行く。別に悪いとは思いませんし、事実私が最初の留学を決めた際も、尊敬する恩師の力添えがあった事は事実です。

ですが、媚びて行くのと、人脈を生かすのは個人的には別だと思いますし、まして金銭のやり取りをして口を利いてもらうなんていうのは論外(残念ですが実際にはこう言うケースも多い)です。

反論あるかもしれませんが、実際には海外大学院留学への道はそんなに狭くない、ということを知ってほしいと思い自分の経験をシェアしたいと思います。

3. 経験談〜英国留学までの足取り

スウェーデンMSc留学へ

もともと在学中から海外留学には興味がありました。もちろん、その時は実際に自分が行けるとは想像もしませんでしたが。。。

ただ自分が学生時代にお世話になったある先生に「海外行きたい」話を何度かしていたところ、他大学のある留学経験者の先生を紹介してくださり、さらにその先生がスウェーデンにいる先生を紹介してくださりと人脈に恵まれ、現地大学を見学する機会をいただきました。

併せて英語の試験対策も本格的に開始。仕事終わりに毎日数時間の勉強、一時期は週3勤務に減らし英語対策に集中した時期もありました。

その後、何度か現地大学を見学したところ、講座の先生に幸いにして興味を持ってもらえたこともあり、MScコース(口腔外科)出願。程なくしてスウェーデンの大学への修士過程(MSc)へのアクセプトレターを手に入れました。人の繋がりに感謝したのは言うまでもありません。

その後念願の留学生活を過ごすも、何が起こるかわからないのが世の常。結局のところ、ここではコース修了を目指すことなく次のフレーズへと移る決断をしました。

ここにたどり着くまでにお世話になった方には申し訳なくも思いましたが、ステップアップも含めよりよい環境を求めて新しい道を探しました。

イギリスMSc留学へ舵取り

というわけで、スウェーデンをベースに海外生活をしながら、イギリスの大学院修士過程への出願へと舵を取りました。3大学3プログラム(インプラント、臨床一般歯学、再生歯学)に出願しました。

ここでは、コネクションも無ければなんの前情報もなく、大学のHPを見ながら出願先探し。

もちろん、過去にこれらコースを修了した日本人も誰もいないという完全に未知の世界でした。0からのスタートです

はっきり言って、出願時はホープレスだと思っていました。日本の歯科界を見てきて、留学=強力なコネが必須くらいの偏見を持っていたからです。

ですが、結論から言うと、入学審査に関わる先生は純粋に私の大学時代のGPA(成績)や、履歴書、出願時に提出したエッセイなどを客観的に見て評価をしてくれ、そして最終的には面接に呼んでくれました。

結果、英国内3大学に出願し、全ての3大学より合格オファー(1校のみ条件付き合格)をもらうことができました。

エッセイや面接で熱意ややりたいことをしっかりと主張し、それなりのバックグラウンドがあれば皆平等にチャンスがある、そう強く感じた瞬間です。

4. 留学に対する見解

というわけで、今となっては、海外大学院への留学はその気がありコストをカバー出来さえすれば、チャンスは誰にでもある、と自信をもって言えます。

アメリカ方面はわかりませんが、ヨーロッパ方面では少なくともチャンスは皆平等にあります。過去に日本人の大学院留学生が一部大学を除いてほとんどいないこともあって、情報がほぼないのは事実ですが、各大学のPostgraduate Studyの募集要項から希望するプログラムを探すことができます。

イギリスだけでも10以上の大学が数十の歯科医師向け大学院プログラムを提供していますし、英語圏以外の国でも英語でのコースを提供している所も多くあります。

前例がなくてもとりあえずパイオニアになる位の気持ちがあれば、怖いものはありません。実際、イギリスでオープンキャンパス等も行きましたが、ヨーロッパだけでなくアジア、中東、アフリカなど世界中から留学希望者が集まっていました。

過去に日本の歯科医師向けマガジンで、A国へ留学中の先生が「コネの世界、コネがないと相手にしてくれない」なんていうことを書いておられましたが、ヨーロッパではそんな事は全くないと言えるかもしれません。

コネがあれば確実なのかもしれませんが、コネがなくても全然戦えますし、そもそもコネ作りのために日本で変なお金を使うくらいなら現地に見学のアポでもとって渡航したほうがよっぽど身になります。

今となっては、コネがないと相手にしてくれないような貧しい大学に対しては、こちらからお断りだとはっきり断言できます。

5. 英語の勉強について

ただ、気合だけではもちろんどうにもなりません。特に、英語力だけは欠かすことができません。逆に言えば英語力さえあればどうにでもなったりするのも事実。

イギリスやほとんどの欧州各国の場合はIELTS、アメリカの場合にはTOEFLなど世界的な英語試験でそれなりの点数をとらないと出願出来ませんし、面接などでそれなりに熱意を持って受け答えしないといけないので、英語力の不足は即不合格へとつながります。

強いコネクションがあれば落ちる事はないのかもしれませんが、そこら辺自力出願の場合にはシビアです。

英語圏に留学しているノンネイティブ医師・歯科医師を見ても、大学院留学の前に1〜2年語学留学してた、なんていう人も多くいるので、なかなかそういう時間を取るのが難しい日本人にとっては英語は大きなハンデになり得ます。

ですので、学生の頃も含め英語の勉強をしっかりする、ということが海外への挑戦の第1歩です。

6. 最後に

結論です。

世界は常に開けている

海外に挑戦する強い意志を持ち、行動し、ちょっと勇気を出せば、海外大学院はそんなに遠い世界の話ではありません。

海外にいて気づくのは、どこの分野もそうですがどこもかしこも韓国・中国人ばかりで日本人は少ない少ない。インターナショナルな感覚を持つことは将来の競争にも絶対必要ですし、役に立つはずです。

海外留学を夢見てる歯学部生・若手歯科医師の方、ぜひ一歩踏み出す準備をしてみてください。

というわけで、まずはTOEFLかIELTSを受けて自分の英語力をチェックするところから始めてみましょう!

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